今回紹介するのは、
SLAM DUNK・幽☆遊☆白書・るろうに剣心
などが連載されていた時代に、
(ドラゴンボールもやってましたかね)
第2次黄金期のジャンプを彩ったバトル漫画。
しかし作者の都合による休載を繰り返し、
最後は「休載による打ち切り」で
中途半端に終わってしまった、
週刊少年ジャンプ史に残る迷作漫画の代表格
でもあります。
その作品が「NINKU -忍空-」。
「忍空」というアイデアやキャラクター設定、
そして世界観などは非常に優れた作品でした。
それだけに、
きちんと完結させることができていれば、
黄金期のジャンプを支えた正真正銘の
「名作漫画」になっていたでしょう。
今回の記事では、この「NINKU -忍空-」の
おすすめポイントをご紹介。
「NARUTO -ナルト-」よりも前に描かれた、
ジャンプ史に残る忍者バトル漫画の名(迷)作
をお楽しみください。
NINKU -忍空-の作品データ
【作品概要】
舞台は江戸時代を模した
「EDO時代」という架空の世界。
「忍空」と呼ばれる、
忍術と空手を組み合わせた格闘術の使い手
風助(ふうすけ)の活躍を描く
王道バトル漫画です。
【作品データ】
作品名 | NINKU -忍空- |
作者 | 桐山光侍 |
連載誌 | 週刊少年ジャンプ(集英社) |
連載期間 | 1993年(平成5年)~1995年(平成7年) |
単行本 | 全9巻(文庫版:全6巻) |
電子書籍 | あり |
NINKU -忍空-のあらすじ
本作「NINKU -忍空-」は
第1部と第2部に分かれており、
コミックス全9巻で構成されています
ここでは本作のあらすじを、
そのストーリーも交えて簡単に紹介していきます。
【第1部のストーリー】
風助たち忍空の使い手の活躍により
戦乱の世も治まったかに見えたEDO暦3年。
旅をしていた風助は、
その途中、下級の忍空使いが
悪事を働いているのを目にします。
戦国時代が終わって
太平の世が訪れたかに思えた世の中でしたが、
一般市民の生活は、戦乱後の食糧難と
戦の残党たちによる恐怖によって
脅かされていたのです。
そんな折、かつて風助とともに戦った
仲間の橙次(とうじ)が、
残党の過激派に囚われたとの情報が入ります。
橙次をさらったのは
「忍空狼(にんくうろう)」と名乗る
忍空使いの集団。
ある目的のために
「忍空狩り」を行っていたのでした。
橙次を助けるために忍空狼に立ち向かう風助。
ここに、風助たちと忍空狼による
「忍空 VS 忍空」の戦い幕が
切って落とされます。
という、いきなりわけの分からん展開で
物語が始まるわけですが。
- 忍空ってなに?
- 風助ってだれ?
- どういう世界観なの?
などなど色んな疑問がわくことでしょう。
そんな疑問がわく理由はですね。
「NINKU -忍空-」の作品構成が
ちょっと特殊だからなんです。
上に書いた忍空狼との戦いは、
コミックス第5巻でいったん決着を見ます。
そして第6巻で、
再び忍空狼のボスと戦うことになり、
第1部・忍空狼編が完結。
その後、第2部にて
第1部より前のエピソードが描かれます。
ですから時間軸としては
「第2部 ⇒ 第1部」
という構成になっているんです。
- 第1部 ⇒ EDO時代のお話し
- 第2部 ⇒ EDOの前のMUROMACHI時代(戦国時代)のお話
ちょっと分かりづらいですよね。
この第2部で、風助と忍空との出会いや
忍空使いが戦乱の世に赴くまでの様子が描かれる。
…はずでしたが。
「未完」のまま打ち切りという結末を迎えます。
なのでストーリーとして完全に描かれているのは
第1部のみということになるんですね。
どうせならそこで「第一部・完」として
一旦連載を終了すれば良かったんでしょうけど、
まぁそれも結果論。
人気漫画誌での連載ですから、
当時はそういう状況にはなかったのでしょう。
冒頭でも述べたとおり、
本作のアイデアや設定は
「世の少年たちの好きそうな」とても秀逸な内容。
だからこそ、
それを活かしきれずに終わってしまったのは
本当に残念でした。
これが「NINKU -忍空-」が名作ではなく
「迷作」になってしまった要因ですね~。
ということで続いては、
その魅力的なアイデアと設定を
本作のおすすめポイントとして紹介します。
NINKU -忍空-のおすすめポイント
少年向けバトル漫画がヒットするかどうかは、
ひとえにその「バトル設定」にある
と言っても過言ではないでしょう。
主人公を含めどんなキャラクターを登場させるか?
そのキャラクターがどのようにして戦うか?
(どんな能力、技、武器などで戦うか?)
まずはこの設定をどうするかで、
読者に受け入れられるかどうかが決まります。
ドラゴンボールやONE PIECEなど、
ヒット作はみんな
オリジナルの要素を持っていますよね。
ま、他の漫画の設定を上手にパクって、
オリジナリティを出しているとも言えますが…。
で、本作「NINKU -忍空-」の設定です。
忍空とは「忍術」と「空手」を組み合わせたもの。
作中では世界最強の武術として描かれています。
一切の武器・道具を使わず
己の肉体と自然の力を駆使して戦う総合格闘技
のため、忍者のように手裏剣や刀を使って
戦ったりはしません。
本作は、そのタイトルから「忍者漫画」
だと思っている方もいるかもしれませんが、
正確には忍者漫画ではありません。
総合すると「忍者風格闘バトル漫画」
というジャンルになるでしょう。
忍空は12の流派に分かれており、
同じく12種類ある干支にちなんで
各流派の名称がつけられています。
ただし、忍空使いは常時「1つの組織」として
行動しているわけではありません。
作中では、忍空使いが「忍空組」
という組織を結成し、
それぞれの流派ごとの「隊」として
戦国の世に参戦したことになっていますが、
これは戦乱を早く終わらせるため
臨時的に結成されたもの。
その証拠に、戦が終わったあと忍空組は解散され、
忍空使いはバラバラになっています。
「BLEACH」の護廷十三隊のように、
常に「○番隊」に所属しているわけではない
ということですね。
しかし作中で、「○○隊に所属していた」とか
「○○隊長の部下だった」などの設定が
頻繁に登場するため、
ここではそれも踏まえて
それぞれの流派の名称と特長を紹介していきます。
【忍空組について】
①一番隊
- 流派:子忍(ねにん)
- 特長:風を操ることができる
- 隊長:風助(本作の主人公)
②二番隊
- 流派:丑忍(うしにん)
- 特長及び隊長:不明
③三番隊
- 流派:寅忍(とらにん)
- 特長及び隊長:不明
④四番隊
- 流派:卯忍(うにん)
- 特長及び隊長:不明
⑤五番隊
- 流派:辰忍(たつにん)
- 特長:炎を操ることができる
- 隊長:赤雷(せきらい)
⑥六番隊
- 流派:巳忍(みにん)
- 特長:大地を操ることができる
- 隊長:橙次(とうじ)
⑦七番隊
- 流派:午忍(うまにん)
- 特長:氷を操ることができる
- 隊長:黄純(きすみ)
⑧八番隊
- 流派:未忍(ひつじにん)
- 特長及び隊長:不明
⑨九番隊
- 流派:申忍(さるにん)
- 特長及び隊長:不明
⑩十番隊
- 流派:酉忍(とりにん)
- 特長:驚異的な脚力を活かした空中技
- 隊長:藍朓(あいちょう)
⑪十一番隊
- 流派:戌忍(いぬにん)
- 特長:動物を操ることができる
- 隊長:紫雨(しぐれ)
⑫十二番隊
- 流派:亥忍(いにん)
- 特長:水を操ることができる
- 隊長:黒楼(こくろう)
隊長のことを、
別名「干支忍(えとにん)」とも呼びます。
ここまで述べたことを踏まえて
本作のバトル漫画としての魅力をまとめると、
次の5点に集約されます。
- 「忍空」という今までになかった能力(技)を使って戦うこと
- グループ分けした組織を登場させ主要な登場人物をそのリーダーとすること
- それぞれのグループ(組織)に特長を持たせたこと
- 自然現象(風・火・氷・土など)を能力として使っていること
- 全ての能力(技など)を一気に明かさずに小出しにしていること
もうこういう設定を見ただけで
「この漫画おもしれ~!」
と思っちゃう少年たちって多いわけですよ。
「今週出てきたアイツ」
「どんな能力持ってんだろ~?」
そう考えるだけでワクワクしませんか?
「○○が火で、△△が風だから、雷じゃね?」
「□□隊の隊長は」
「前に出てきたアイツだと思うよ、逆に。」
「たぶんアイツ、来週死ぬな。」
楽しいですよね♪
もうひとつ付け加えるなら、
主要なキャラクターが必殺技を持っている
というのもありますかね。
た・だ・し!
先ほどの【忍空組】の一覧を
見てもらえれば判るように、
本作に登場する干支忍(隊長)は7人
しかいません。
何度も言いますが、
この漫画は未完のまま打ち切られています。
なので、残りの5人は
未登場のまま完結してしまうのです。
何とももったいない話で、
ワクワクして損した!
みたいな感じになりますよね~。
これも、本作が名作ではなく
「迷作」になってしまった理由。
素晴らしいアイデアや設定を
創り出しておきながら、
それを活かしきれずに終えた桐山先生には、
当時大いに文句を言ってやりたかったのですが…。
今はもう、文句を言う気はありません。
なぜなら。
本作には、「続編」があるからです。
「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」
と題された続編は、
本作の終了から10年後(2005年~)
に描かれた作品です。
10年後になってしまったとはいえ、
続編を描いてくれた桐山先生に
今は心から拍手を送りたい。
しかも今度はちゃんと
「完結」させてくれています。(2011年に完結)
この「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」
については、こちらの記事で紹介しています。
残りの干支忍たちも登場しますので、
興味のある方は読んでやってくださいませ。
こうして「NINKU -忍空-」は、
連載開始から足掛け18年を経て
めでたく完結したわけです。
続編の「SECOND STAGE 干支忍編」は、
未完に終わった本作の
正真正銘の「続き」として描かれています。
そのため、
もし「NINKU -忍空-」に興味を持たれた方は、
まず本作の全9巻を読み終えてから、
続編に取りかかることをオススメします。
そのほうが「1つの作品」として楽しめますから。
さて、そんな本作「NINKU -忍空-」は
わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト
「ebookjapan」で試し読みが可能。
「NINKU -忍空-」に興味を持たれた方は、
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