2019年10月に亡くなられた「吾妻ひでお」先生の代表作「ななこSOS」を紹介します。
個人的には漫画よりもTVアニメの印象のほうが強い作品ですね~。
ただし、吾妻ひでお先生の特色が色濃く出ているのは、こちらの原作漫画。
今回の記事では、この「ななこSOS」のおすすめポイントをご紹介。
独特の世界観と作風で異色の漫画を描かれた吾妻ひでお先生の代表作をお楽しみください。
なお、TVアニメ版「ななこSOS」については下記の記事で紹介しています
こちらもあわせてお楽しみください。
ななこSOSの作品データ
【作品概要】
超能力を持った女子高生のすーぱーがーる・ななこ。
脇を固めるのは、マッドサイエンティストの四谷永一郎、作中で唯一の常識人・飯田橋博士。
これら3名を中心に展開される「ドタバタSFギャグ漫画」です。
【作品データ】
作品名 | ななこSOS |
作者 | 吾妻ひでお |
連載誌 | ポップコーン 他(光文社) |
連載期間 | 1980年(昭和55年)~1985年(昭和60年) |
単行本 | 全5巻(文庫版は全3巻)(※) |
電子書籍 | なし(紙版のみ) |
(※)2019年12月より、本作の復刻として「完全版」が全3巻で刊行されています。
ななこSOSのおすすめポイント①(ロリ美少女ななこ)
それでは、本作「ななこSOS」のおすすめポイントを紹介していきます。
この作品は、1話完結型のエピソードで構成されるギャグ漫画です。
そのため一貫したストーリーは存在せず、冒頭で述べたように主人公の女子高生ななこちゃんと、同じく高校生の四谷&飯田橋の3人が繰り広げるドタバタ劇が描かれています。
主人公のななこちゃん(作中では「すーぱーがーる・ななこ」)は、強力な超能力を持つ美少女。
その反面、ドジ・泣き虫・気が弱い・鈍感・お人好しなどの属性を持っています。
強大な力を持ちながら、その性格ゆえさまざまなトラブルに巻き込まれるななこちゃんをギャグタッチで描いているのが「ななこSOS」の面白さなんですね。
最近では、こういった「ギャップ萌え」で魅せる漫画もたくさんありますが、本作はその先駆けと言ってイイでしょう。
でも、ななこちゃんの一番の魅力は、その幼児体形&足首。
この足首が無い足を「ななこ足」と呼び、ななこSOSの代名詞となっています。
でもですね、そのロリロリ感(足首も含めて)が、メチャメチャ可愛い。
また、作中でハッキリと明言されてはいませんが「ドM」の女の子でもあります。
とても「押しに弱い」性格で、見知らぬ男性にすぐ唇を奪われちゃったりとか。
さらに非常に「従順」な性格でもあり、何でもしてくれちゃうんです。(パシリに使われることも)
超能力 + ドジで泣き虫で気が弱い性格 + ドM + ロリ体形 + ななこ足。
ななこちゃんのキャラの魅力が、本作の大きなおすすめポイントのひとつと言えます。
この可憐でロリでドMな美少女が、空を飛び、ビルを破壊し、ロボットと戦い、宇宙人を懲らしめ、巨大化もしちゃうというギャップが、本作の大きな見どころ。
「ギャップ萌えキャラ」の先駆け的存在である「すーぱーがーる・ななこ」というキャラクターがいなければ、この漫画が名作として名を残すことはなかったでしょうね。
ただし。
1つだけお断りしておきます。
本作「ななこSOS」は、お色気エッチ漫画ではありません。
主人公のななこちゃんがロリ色全開のキャラなので、ぱっと見「お色気エッチ漫画?」と思われるかもしれませんが。
違います。
まぁ多少のお色気シーンはありますけど、それがメインの作品ではありません。
ななこSOSのおすすめポイント②(色褪せないギャグ漫画)
吾妻先生は、「不条理ギャグ漫画の元祖」なんて言われるほどの漫画家さんです。
ここで言う不条理とは、「物事の調和が取れていないこと」や「常識的ではない言動・思想」などを指します。
それを漫画(というかギャグ)として活かしたものが「不条理漫画」。
本作でも、吾妻先生の特色である「不条理ギャグ」が全編に散りばめられています。
例えばこんな感じ。
本作では、ドジで泣き虫で鈍感でお人好しで気が弱いロリロリ美少女のななこちゃんが、空を飛びビルを破壊しロボットと戦い宇宙人を懲らしめ巨大化します。
不条理ですね~。
本作では、ななこちゃんの脇を彩るキャラクターとして登場するマッドサイエンティストの四谷永一郎くん。
彼は10歳で東大に合格し、ハーバード大やケンブリッジ大なども卒業し、数々の博士号を持つ天才。
ただ、その才能を「金儲け」と「マッドな研究」のためにしか費やしません。
(©吾妻ひでお/ななこSOS)
不条理ですね~。
本作では、宇宙人が飛来したり、巨大ロボットが存在したり、怪獣がいたり、自然現象や動物が擬人化したりします。
でもそれが「当たり前のこと」として描かれています。
(©吾妻ひでお/ななこSOS)
不条理ですね~。
本作では、なぜななこちゃんは超能力が使えるのか? なぜ四谷くんはマッドな科学者になってしまったのか? なぜ宇宙人が存在するのか?
こういった「なぜ?」という部分に関しての説明が一切ありません。
ちなみに、ななこちゃんのお父さん・お母さんも超能力者です。
(©吾妻ひでお/ななこSOS)
不条理ですね~。
「ななこSOS」は、このような「意味の通らないナンセンスな事柄」が集まってできたギャグ漫画。
そのため「オチ」などなくグダグダのまま終わるエピソードも多いんです。
ましてや、ストーリー性なんてモノを求めてはいけません。
設定・テーマ・ストーリー・理由・作者の考え。
そういったことを楽しむ漫画ではなく、単に「描かれていること」をそのまま楽しむ漫画です。
言いかえれば、「ロリ美少女を愛でる」か「不条理ギャグの世界にハマる」かのどちらかしか楽しみ方がない作品とも言えます。
なので、かなり読み手を選ぶ漫画と言えるでしょうね。
もし本作を手に取る機会があれば、その辺りを十分に理解したうえでお読みください。
それを理解したうえでお読みいただかないと、恐らくただの「駄作」で終わってしまうでしょう。
まぁギャグ漫画にはそういう作品が多いですけど…。
ただ、1980年代後半から広まった「不条理ギャグ漫画」は、その後も綿々と受け継がれて現在に至っています。
その元祖となる本作(というよりも、吾妻先生の作品全般)ですから、「不条理ギャグ漫画が好き!」という方々であれば、すんなりとこの漫画の世界にも入って行けるのではないでしょうか。
また、あまり時代考証的なことを考慮しなくても楽しめるのがギャグ漫画の魅力。
40年前に描かれた「色褪せないギャグ漫画」の名作を、ぜひお楽しみください。
吾妻先生のご冥福をお祈りしつつ。
【ななこSOS 完全版】
吾妻ひでお先生の最大のヒット作「ななこSOS」は完全版として復刻されています。
本作は、ポップコーン(光文社)及び後継誌・ジャストコミックに連載されて好評を呼び、1983年にはフジテレビ系列でアニメ化された人気作。
1985年に連載が終了した後も、個人誌「産直 あづまマガジン」等で続編が描かれました。
「ロリ美少女」と「SF」という作者が得意とする二大要素を盛り込み、さらに「不条理ギャグ漫画」として仕上げられた傑作が全3巻の「完全版」で復活!
人気作であったためか、連載時には冒頭が2色または4色カラーで描かれることの多かった作品ですが、既存のコミックスではごく一部を除いてモノクロで印刷されていました。
しかし「完全版」では、そのすべてをカラー印刷で再現。
また、雑誌連載時の折込やさまざまな媒体で発表されたカラーやモノクロのイラストが可能な限り収録されています。
「ななこSOS」の完全版に興味ある方は、わたしがふだん使っている漫画通販サイト「漫画全巻ドットコム」を利用してください。
※ 完全版は電子書籍化されていません。
「漫画全巻ドットコム」については下の記事でも紹介しています。
こちらも併せてご参考に。