え~今回紹介する名作は、女性向けの漫画。
いわゆる「少女漫画」ですね。
わたしは♂ですけど、ごく稀に女性向けの漫画も読んだりします。
読んだ数で言えば、圧倒的に男性向け漫画のほうが多いです。
しかし今回は、あえてわたしが読破した数少ない女性向け漫画の1つを取り上げたいと思います。
その作品が、成田美名子先生の描く「ALEXANDRITE(アレクサンドライト)」。
この「ALEXANDRITE(アレクサンドライト)」のおすすめポイントを、男目線で紹介していきます。
男性読者はあまりなじみのない作品だと思いますが。
凄く面白いですよ、この漫画。
ALEXANDRITEの作品データ
【作品概要】
主人公「アレクサンドラ・レヴァイン」が大学生活を通して、家族・恋愛・友人そして自分自身に悩みながら成長していくヒューマンドラマです。
全編通して1本のストーリーがあるわけではなく、主人公の「成長物語」が本作の軸となっています。
【作品データ】
作品名 | ALEXANDRITE(アレクサンドライト) |
作者 | 成田美名子 |
連載誌 | LaLa(白泉社) |
連載期間 | 1991年(平成3年)~1994年(平成6年) |
単行本 | 全7巻(文庫版は全4巻) |
電子書籍 | あり |
ALEXANDRITEの登場人物
本作「ALEXANDRITE」は、作者である成田美名子先生の代表作「CIPHER(サイファ)」のスピンオフ作品です。
CIPHERには、「サイファ」と「シヴァ」という双子の男性が登場。
主人公はサイファのほうで、ヒロインの女の子・アニスとの恋愛模様を中心に若者たちの青春を描いたヒューマンストーリーとなっています。
本作は、このCIPHERにチョイ役として登場していた「アレクサンドラ・レヴァイン」という男性が主人公。
そして同じく脇役扱いだったサイファの双子の兄「シヴァ(本名:ジェイク・ラング)」をメインキャストに展開していきます。
※ サイファ(本名:ロイ・ラング)は、ほとんど登場しません。
そんな2人を中心とした、本作の主なキャラクターは次のとおりです。
アレクサンドラ・レヴァイン
本作の主人公(♂)。
「アレクサンドラ」という名前はアメリカでは「女性の名前」だそうで、その女性名と女性的な容姿にコンプレックスを持っている青年。
本作では、そんな彼が恋の悩みや家族関係そして自身のコンプレックスなどを、仲間とともに克服していく様が描かれています。
(©成田美名子/ALEXANDRITE)
愛称は「アレク」or「アレックス」。
ただ、親友のシヴァが「レヴァイン」と呼んでいるため、ここでも「レヴァイン」で統一します。
個人的には、お母さんが彼のことを呼ぶ「アレクセイ」という呼び方が、わたしは好きでした。
ジェイク・ラング(シヴァ)
本作の準主人公(♂)で、本名はジェイク・ラング。
※ シヴァ&サイファは、前作CIPHERで芸能(俳優)活動を行っていた時の芸名。
少々ひねくれた性格のツンデレ青年。
でも、根は知的で明るい性格です。
作中でレヴァインそっくりの女性・エレンに一目惚れします。
(©成田美名子/ALEXANDRITE)
上図左から、シヴァ(ジェイク)・レヴァイン・サイファ(ロイ)。
ちなみに3人のうちだれと一番友達になりたいか?と聞かれれば、
断然「ジェイク」。
アンブローシア・ハート
本作のヒロイン。
レヴァインくんの幼なじみで、片想いの相手でもあります。
見た目が派手で男勝りのきっぷのいい女として登場しますが。
しだいに女性らしい一面も魅せてくれるように。
※ 下図右が、アンブローシア。
(©成田美名子/ALEXANDRITE)
当初、レヴァインくんのことを恋愛対象として見ていなかった彼女。
しかし徐々に「男」として意識するようになる2人の関係は、本作のラブストーリーとして見どころのひとつです。
序盤はあまり可愛いと思わなかったアンブローシアも、後半になるほど「女の子らしさ」が出て好きになりましたね~。
エレン・ブラックウィング
ジェイクが想いを寄せる女性。
レヴァインと瓜二つの容姿をしており、レヴァインの従姉妹でもあります。
音大でバイオリンを学んでいる才女のわりに世間知らずな一面もあわせ持つ、不思議な雰囲気の女性です。
見た目は、レヴァインそのまんま。
(©成田美名子/ALEXANDRITE)
以上が、ALEXANDRITEの主要な登場人物。
この4人を中心に、本作のストーリーは展開されます。
ただし!
本作にはもう1人、忘れてはならない重要なキャラクターが存在します。
それは。
後ほど。
ALEXANDRITEのおすすめポイント①(ビバ!アメリカンライフ)
え~本来であれば、ここでストーリーなんかをサクッと紹介して終わりたいところなんですが。
「ALEXANDRITE」には、最初から最後までの一貫したストーリーっていうのは無いんですね。
作品概要のところでも触れたとおり、この漫画は主人公をはじめとした登場人物たちの「成長」を描いたヒューマンドラマ。
なので、それぞれのキャラクターにまつわるエピソードが集まってできている作品なんです。
例えば恋愛中心の話だったり、学園生活のエピソードだったり、自分自身や家族のストーリーだったり…。
その中で、悩み、迷い、葛藤し、助け合い、励まし合いながらひとりの人間として成長していくという構成になっています。
それゆえストーリー的には「地味」な内容であり、かつ特筆すべき点もないと言ってイイでしょう。
では、この漫画のどこがオススメなのか?というと、
それは2つあります。
まず1つ目は、登場人物たちが暮らす「アメリカの生活の描写」。
特に、主人公たちが通うコロンビア大学でのキャンパスライフの描写は特筆ものです。
読むだけで「コロンビア大学に行きたいっ!」と思わせてくれるほど、活き活きと描かれています。
例えば、こんなの⤵。
(©成田美名子/ALEXANDRITE)
わたしがこの作品を読んだのは、ちょうど大学を卒業するころ。
「ただ大学に入学して卒業しただけ」のわたしのような人間には、レヴァインたちの大学生活がとても羨ましく思えました。
キャンパスライフ以外の日常生活などでも、随所に「アメリカン・ライフ」を感じさせてくれる描写があり、
「この漫画家さんセンスいーな」と思いながら読んでいた記憶があります。
※ 実際のアメリカのキャンパスライフがどうなのかは知りませんけどね。
それでも。
狭い部屋でひとりこの漫画を読んでたりすると、思わず外に出たくなるくらい解放感にあふれたステキな描写が多数あるのも事実。
まさに「ビバ!アメリカン・ライフ」。
学業に恋に遊びにバイトに。
いつも一生懸命な主人公たちの青春群像劇が、きっとあなたに「共感」か「羨望」をもたらしてくれるでしょう。
ALEXANDRITEのおすすめポイント②(イチ押しキャラ)
もうひとつの本作のおすすめポイントは、登場人物の紹介であえて省いた1人の男性にあります。
その人物が「ハットリ」。
実は、上の画像ですでに登場しています。
(©成田美名子/ALEXANDRITE)
ハットリくんは、物語の途中からレヴァインたちの同級生として登場する日本人留学生。
登場後はちょくちょくレヴァインたちと行動を共にするため出番が多くなります。
※ 設定としては、あくまでも脇役。
本作品をレビューしているサイトなどを見ると、このハットリくんについては、
「お祭り・イベントが大好きで、それらを企画したり盛り上げたりする役回り」
という説明が多いのですが、彼の魅力はそんなところにはありません。
本作の舞台はアメリカですから、とうぜん登場する人物もほぼ全て外国人。
なので、読んでいてもなかなか感情移入できないことが多いんです。
おまけに作者が女性なので、男として余計に感情移入できないというか…。
そこへ、ハットリくんの登場。
ハットリは、この漫画の主要キャラで唯一の「日本人」。
見た目は幼い感じがして、青年というよりも少年て感じ。
でも、とても友だち想いのイイ奴で、結構な熱血漢でもあります。
このハットリくんのキャラ描写がとても好感が持てて、
いわゆる「漫画の主人公の親友」的な普通の日本人男性なんですね。
だから非常に親近感がわくんです。
普通の日本人男性であるハットリくんを登場させたことで、
レヴァインはじめ他の登場人物(外国人)をすごく身近に感じられるようになります。
どういった理由で彼を登場させたのかは知りませんけど、この辺りにも成田先生のセンスの良さを感じずにはいられませんね~。
本作をお読みになる際には、ぜひ「ハットリくん」にもご注目を!
ということで今回は、少女漫画の名作「ALEXANDRITE(アレクサンドライト)」のおすすめポイントなどを紹介しました。
正直ですね。
少女漫画を読むと、その特有の「ノリ」についていけない部分も男としてはあります。
キャラについても「カッコよすぎる」、「足長すぎる」、「こんな男いね~よ」と突っ込みたくなるシーンも多数。
女性キャラにしても、男のわたしからはさほど魅力的には映りません。
まぁ少年漫画に登場するヒロインも、女性からしたら「こんな女いね~よ」って感じかもしれませんが。
この「ALEXANDRITE」にも、上記に当てはまる部分はあります。
しかしそれ以上に魅力的なのが、本作で描かれる「若者たちの青春群像劇」。
いま青春真っ盛りの若者たちにも、すでに青春が過去の遺物になってしまった30代以上の方々にも、
男女問わず「共感」か「羨望」をもたらしてくれるほどステキな作品です。
ぜひあなたの漫画ライフの1ページに加えてみてください。
さて、そんな本作「ALEXANDRITE」は電子書籍化されています。
※ 電子書籍は、文庫版の全4巻。
わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト
「ebookjapan」で試し読みが可能。
「ALEXANDRITE」に興味を持たれた方は、
下の公式サイトでチェックしてくださいね。