以前に紹介した、吾妻ひでお先生の名作漫画「ななこSOS」。
今回は、その「TVアニメ版」を紹介します。
子供のころ好きだったアニメの1つで、結構有名だったのでは?と思っていたのですが…。
わたしの周りには、このアニメ(原作もです)を知っている人は、ほとんどいませんでした。
しかしめげずに、今回の記事で「TVアニメ ななこSOS」のおすすめポイントを紹介していきますよ。
確かに万人受けするアニメではありませんが、原作同様ハマる人はめっちゃハマる作品です。
今回の記事を参考にその面白さを味わっていただけたら幸いです。
なお、原作である漫画版「ななこSOS」については下記の記事で紹介しています。
原作版の記事で触れた部分については再度解説しませんので、こちらの記事を先にお読みいただいた方がいいかもしれません。
TVアニメ/ななこSOSの作品データ
【作品概要】
天才科学者(自称)の高校生・四谷。
四谷の級友である飯田橋。
そして彼らのお陰(?)で超能力を得たスーパーガール・ななこ。
この3名が、よろず請け負い会社「よろずカンパニー」を結成して奮闘します。
【作品データ】
作品名 | ななこSOS |
メディア | TVアニメ |
原作者 | 吾妻ひでお |
製作 | フジテレビ、国際映画社 |
話数 | 全39話 |
放送期間 | 1983年(昭和58年) |
TVアニメ/ななこSOSのおすすめポイント①(原作との違い:ストーリー)
本作「TVアニメ/ななこSOS」は、原作である「漫画/ななこSOS」の設定をベースとして作られています。
ただし!
ストーリーやキャラの設定背景の違いやアニメオリジナルキャラなども登場するなどして、原作とは異なる点が多いのも特長。
原作版の記事でも紹介しましたが、漫画の「ななこSOS」は非常にアクの強い作品です。
そのため、かなり読む人を限定する漫画だと書きました。
※ それが原作版の面白さとも言えるのですが。
アニメ版では、そういった点を緩和するため(少しでも多くの人に見てもらうため)、アニメ版としての改良が加えられています。
まず大きく異なる点(改良点)の1つとして挙げられるのは「ストーリー」。
原作版は1話完結のギャグ漫画ですので、正直ストーリーと呼べるほどの「軸」がありませんでした。
しかしTVアニメの方は、同じく1話完結のギャグアニメでありながら、しっかりとした「軸」が存在します。
それが「よろずカンパニー」です。
自称「天才科学者」の高校生・四谷が設立した会社・よろずカンパニー。
その運営資金を調達するため、ななこたちが様々な事件に首を突っ込む(巻き込まれる)という「軸」を中心に、各話のストーリーが展開されます。
そして結局なにも得られず(損をして)チャンチャンと終わる、というパターンがほとんどになっています。
ですから各話の目的がハッキリしていて、原作よりはすんなりと「ななこSOS」の世界に入って行けるのがアニメ版の特長と言えるでしょう。
ちなみに、原作の方でも同じような「すーぱーがーるカンパニー」という会社が存在するのですが、ストーリーの「軸」になるような存在ではありません。
この点が原作とアニメの大きな違い。
なるべく多くの視聴者を取り込むという観点からすれば当然の変更だったろうと思いますし、それは見事に成功しましたね~。
TVアニメ/ななこSOSのおすすめポイント②(原作との違い:キャラ設定)
続いてのアニメと原作の違いは「キャラクター」です。
と言っても、主要なキャラクター3人の設定は、原作とほぼ同じ。
- ななこ
- 純粋で心優しいロリ系美少女で、超能力を使えます。
- 足首がない「ななこ足」も原作と同じです。
- 四谷
- 天才高校生で、守銭奴。
- マッドな点はちょっと弱まっていますが、暴走キャラである点は原作と同じです。
- 飯田橋
- ななこに好意を抱いている常識人。(他の2人に比べると)
- 将来の夢が漫画家であり、ツッコミ役である点も原作と同じですね。
では何が違うのかというと、キャラクター設定の「背景」が異なるのです。
例えば、原作ではななこは最初から超能力を使うことができ、さらに、なぜ彼女が超能力を使えるのか?という点については言及されていません。
ところがアニメ版では、四谷と飯田橋が超能力の実験をしていたところへななこが現れ、記憶を失う代わりに超能力者になるという、ななこが超能力者になった背景が描かれています。
さらに、ななこの超能力はパワーアップすることが可能。
その際には普段のセーラー服姿から「スーパーガール版」の衣装に変身するという手の込みようなんです。(パワーアップする設定は原作にはありません)
この辺りは、変身魔法少女アニメを連想させ、いかにも「80年代のアニメだなぁ」という感じがしますね~。
なお、パワーアップ(変身)する時のBGM「ななこ!SOS!ななこ!SOS!」のメロディーは、アントニオ猪木の入場曲「イノキ!ボンバイエ!」のパロディー。
このフレーズが大好きで、アイキャッチ映像にも使われていたのを憶えています。
※「イノキ!ボンバイエ!」をご存知ない方は、お父さんかお母さんに聞いてね。
このように原作では描かれなかったキャラ設定の背景を描き出したり、アニメのオリジナル要素を追加しているのも、より一般受けする作品として製作したいという意欲の表れでしょう。
加えて、原作には登場しない「ななこ監視用ロボット」や、原作に登場する悪役をアニメ向きに変更するなどの相違点もあります。
ただ、原作の根幹である「ギャグ漫画」という部分は崩していません。
なので原作の良い部分を残しつつ、アニメ用の改良を加えている作品だと思ってください。
基本的には、原作同様「ロリ美少女・ななこちゃんを愛でる」か「ノリと勢いのギャグの世界にハマる」かのどちらかを楽しんでいただくアニメ。
でもそこに「ストーリー」や「オリジナルキャラ」などの要素も加味され、原作漫画よりは幅広い層の視聴者が楽しめる作りになっています。
また、声優陣も豪華な配役。
それもアニメならではの楽しみと言えるでしょう。
※ どのような声優陣になっているかは本編でご確認を。
ということで今回は、「TVアニメ/ななこSOS」のおすすめポイントを原作漫画との違いで紹介しました。
原作と読み比べてみると、アニメーションというメディアの魅力を存分に活かしていることがお解りいただけると思います。
ぜひ原作とアニメ両方の「ななこSOS」を堪能してみてください。
なお「TVアニメ/ななこSOS」は、わたしが調べた限り動画配信サービスなどでは取り扱っていません。(投稿日現在)
もし「観てみたい!」という方がいらっしゃしましたら、ネット宅配DVDレンタルサービス「GEO(ゲオ)」の宅配レンタルを利用するのがおすすめ。
コレクターの方はすでに持ってらっしゃるでしょうし、レンタルならわずかな金額ですみますから。
「ゲオ宅配レンタル」のトップページから「ななこSOS」で検索してください。
【原作漫画を読むなら復刻された「完全版」で!】
吾妻ひでお先生の最大のヒット作「ななこSOS」は完全版として復刻されています。
本作は、ポップコーン(光文社)及び後継誌・ジャストコミックに連載されて好評を呼び、1983年にはフジテレビ系列でアニメ化された人気作。
1985年に連載が終了した後も、個人誌「産直 あづまマガジン」等で続編が描かれました。
「ロリ美少女」と「SF」という作者が得意とする二大要素を盛り込み、さらに「不条理ギャグ漫画」として仕上げられた傑作が全3巻の「完全版」で復活!
人気作であったためか、連載時には冒頭が2色または4色カラーで描かれることの多かった作品ですが、既存のコミックスではごく一部を除いてモノクロで印刷されていました。
しかし「完全版」では、そのすべてをカラー印刷で再現。
また、雑誌連載時の折込やさまざまな媒体で発表されたカラーやモノクロのイラストが可能な限り収録されています。
「ななこSOS」の完全版に興味ある方は、わたしがふだん使っている漫画通販サイト「漫画全巻ドットコム」を利用してください。
※ 完全版は電子書籍化されていません。
「漫画全巻ドットコム」については下の記事でも紹介しています。
こちらも併せてご参考に。