今回は、日本を代表する漫画家・高橋留美子先生の
「1ポンドの福音」を取り上げます。
知らない人はいないくらい有名な漫画家さんで、
数多くのヒット作を描かれている高橋先生。
その中でもこの作品は隠れた名作と
言えるんじゃないかと思い、紹介することにしました。
今は亡き「ヤンサン」で1987年から連載され、
20年後に完結してコミックスが「全4巻」という
大御所漫画家さんならではの作品ですが、
るーみっくわーるどに相応しい名作となっています。
今回の記事では、この「1ポンドの福音」の
おすすめポイントをご紹介。
ぜひ最後までお付き合いください。
※「るーみっくわーるど」とは、
高橋留美子先生の作品や作風を称した呼び名です。
ちなみに本作は、10年以上前に亀梨くん主演で
ドラマ化されています。
それが無ければ
もっと隠れた名作たり得る作品だったんですけどね~。
1ポンドの福音の作品データ
【作品概要】
食いしん坊のプロボクサーの青年と、
それを見守る心優しきシスターとの
恋模様を描いたラブコメ漫画。
ボクシングを題材にした漫画ですが、
ボクシング漫画ではありません。
ラブコメです。
【作品データ】
作品名 | 1ポンドの福音 |
作者 | 高橋留美子 |
連載誌 | 週刊ヤングサンデー(小学館) |
連載期間 | 1987年(昭和62年)~2007年(平成19年) |
単行本 | 全4巻 |
電子書籍 | あり |
1ポンドの福音のおすすめポイント①(「ラブコメ」です)
本作「1ポンドの福音」の主人公は、
若き才能あるプロボクサー・畑中耕作
(はたなか こうさく)。
そしてヒロインは、ときに優しく、ときに厳しく
主人公を見守る修道院のシスター・アンジェラ。
主人公がボクサーなので
ボクシング漫画と思われがちですが。
実際は、この2人の恋模様を中心に描かれる
「ラブコメ」です。
主人公の耕作は、
とても才能あるハードパンチャーのプロボクサー。
…なのですが。
生来の食いしん坊でもあり、
また意志が弱い根性無しでもあるため
減量に失敗してばかりいるダメボクサーなんです。
(©高橋留美子/1ポンドの福音)
一方、ヒロインであるシスターアンジェラは、
修道院で働く見習いシスター。
減量に失敗した耕作が修道院に懺悔に行くことで
知り合い、徐々に親しくなっていきます。
基本的には真面目で心優しい女性ですが、
時には耕作を罵倒したり厳しく励ましたりする
気丈な一面も。
(©高橋留美子/1ポンドの福音)
本名は麻利絵(まりえ)さん。(苗字は不明)
修道服のベールを脱ぐと、
ショートカットで可愛らしい女性になります。
(©高橋留美子/1ポンドの福音)
本作品は1話~数話完結のエピソードで構成され、
基本的に1つのエピソードごとに
耕作のボクシングの試合が描かれます。
エピソードの進行パターンも大体決まっていて、
こんな感じ。
ひょんなことから耕作が知り合う男性
⇒ 実は次の試合相手だった
⇒ シスターとのひと悶着
⇒ 試合
⇒ 勝利
⇒ シスターとの恋の行方は?
こう書くと耕作のボクシングシーンがメイン
のように思われますが、そうではありません。
上にも書いたように内容は「ラブコメ」なので。
本作の見どころは、耕作のボクシングの試合を通じて
どのようにシスターとの関係が進展するか?
にあります。
まぁ確かにボクシングの試合シーンも
描かれているんですけど。
さほど迫力ある試合シーンとは言い難いですし、
決して上手くはありませんね~。
だって。
「ラブコメ」ですから。
ちなみに、ボクシングのシーンで一番多いのは、
耕作がサンドバッグを打っているシーン
だったりします。(こんなの⤵)
(©高橋留美子/1ポンドの福音)
ですからボクシングメインの漫画と思って
読んでしまうと、肩透かしを食らうでしょう。
以前に紹介した「リンかけ」でも書きましたが、
わたしボクシング漫画が好きなので結構読むんですね。
で、今まで読んだボクシング漫画と比較すると、
明らかに「ボクシングを描く」という部分での質は
落ちます。
だって。
「ラブコメ」ですから。
最終的に耕作とシスターの仲がどうなるのか?
この点をメインに、ボクシングはオマケ
として楽しむマンガだと思ってください。
そんなこと言っても。
どうせ最後はくっついてハッピーエンドでしょ?
とか思ってます?
いやぁ~。
どうですかねぇ~?
1ポンドの福音のおすすめポイント②(高橋留美子の入門マンガ)
わたしは高橋留美子という漫画家さんは、
「ラブコメ」と「ホラー」を描かせたら
天下一品の漫画家さんだと思っています。
高橋先生の代表的な長編作品である
うる星やつら・めぞん一刻・らんま1/2は、
全部ラブコメ。(古くてスミマセンね)
また、ホラー色の強い漫画としては
「人魚シリーズ」が代表的な作品として挙げられます。
本作「1ポンドの福音」を高橋作品になぞらえて
表現するなら、こんな感じでしょうか。
「うる星やつら」と「めぞん一刻」を足して
2で割った縮小版。
ヒロインのシスターアンジェラに想いをよせる耕作。
それを解っていてまんざらでもないのに、
どっちつかずの態度をとるシスター。
主人公の耕作は、うる星やつらの「あたる」のように
女性に対してストレートな感情表現をする一方で、
めぞん一刻の「五代くん」のように
女性に対して一途な部分もあります。
(©高橋留美子/1ポンドの福音)
そしてヒロインのシスターアンジェラは、
まんまめぞん一刻の「響子さん」の縮小版ですね。
修道女としての立場、自分の生い立ち、
周りの人たちのお節介などの板挟みにあって、
本当は好きなのになかなか決断できない辺りも
似ています。
さらに、耕作と付き合っているわけでもないのに
他の女性に嫉妬してしまうあたりは、
響子さんそのまんまと言えるでしょう。
こうした耕作の一途な想いやシスターの性格は、
コミックス第3巻の「よろめく子羊」
というエピソードで分かりやすく描かれています。
(©高橋留美子/1ポンドの福音)
おそらく古くからの高橋先生のファンであれば、
この辺のニュアンスはお解りいただけるでしょう。
ただ、高橋先生の作品を読んだことがない人には、
ちょっと伝わりづらいかもしれません。
しかし!
それは逆に言うと、
「1ポンドの福音」を読めば、
高橋作品の魅力を理解することができる
ということでもあります。
これを読めば「高橋先生の作風はこんな感じなんだな」
っていうのが分かってもらえるってことですね。
そういう意味で本作は、「高橋留美子の入門マンガ」
としてピッタリの作品。
長編が多い高橋作品の中で、
全4巻という手ごろなボリュームも◎。
- 巻数が少ない
- 気軽に楽しく読めるラブコメ
- 高橋留美子色が詰まっている
こんな特長を持った本作で、
是非るーみっくわーるどの魅力に触れてみてください。
さて、そんな本作「1ポンドの福音」は
電子書籍化されています。
わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト
「ebookjapan」で試し読みが可能。
「1ポンドの福音」に興味を持たれた方は、
下の公式サイトを覗いてください。