今回は、以前に紹介した短編ギャグマンガ
「ナマケモノが見てた」の村上たかし先生が描く
「星守る犬」という作品を取り上げます。
「ナマケモノが見てた」と同じ作者が描いた
とは思えないほど作風に違いのある本作は、
心温まる感動ヒューマンストーリー。
読む人によっては号泣してしまうかもしれません。
今回の記事では、そんな「星守る犬」の
おすすめポイントを
あらすじとともに紹介していきます。
実写映画化もされている作品ですが、
やっぱり原作が一番イイですね。
星守る犬の作品データ
【作品概要】
4つのエピソードと2ページのエピローグ
から成る短編集。
それぞれのエピソードは独立しているものの
ちょっとした部分でつながっているという
なかなか趣向を凝らした作りになっています。
各エピソードには、すべて違った「犬」が登場。
それらの犬と飼い主と周りの人たちとの
心温まるストーリーが展開されます。
心がすさんでいる時にオススメしたい
ハートフルな感動作品です。
【作品データ】
作品名 | 星守る犬 |
作者 | 村上たかし |
連載誌 | 漫画アクション(双葉社) |
連載期間 | 2008年(平成20年)~2009年(平成21年) |
単行本 | 全2巻 |
電子書籍 | あり |
星守る犬のあらすじ①(星守る犬)
それでは本作「星守る犬」のあらすじを
ネタバレなしで紹介していきます。
このマンガには、次の4つのエピソード
が収録されています。
- 星守る犬
- 日輪草(ひまわりそう)
- 双子星
- 一等星
そして最後2ページのエピローグ。
基本となるのは最初のエピソード「星守る犬」で、
他の3つのエピソードは、この「星守る犬」と
何らかの形でつながっています。
そして全編で、
「犬」が物語のキーになっているのも特長。
まずは最初の
「星守る犬」から紹介していきますね。
ある日、元気な女の子・みくちゃんが
捨てられていた仔犬を拾います。
その仔は「ハッピー」と名付けられ
みくちゃんちの家族の一員に加わりました。
ハッピーと遊ぶのはみくちゃん。
ごはんをあげるのはお母さん。
散歩につれてくのはお父さん。
家族みんなに可愛がられたハッピーは
幸せいっぱいでした。
(©村上たかし/星守る犬)
しかし、時は流れ…。
すっかり大人になったみくちゃんは
ハッピーに見向きもしなくなり。
ごはんをくれるのも、
お母さんからお父さんにかわり。
一番ハッピーの面倒をみてくれたお父さんも
病気になり、
仕事を失い、
無口になってしまいます。
挙句の果てには、お父さんとお母さんが離婚。
幸せだった家族は、みな違う方向に目を向け
バラバラになってしまうのでした。
(©村上たかし/星守る犬)
車とわずかなお金とハッピーが残ったお父さんは、
故郷を目指して旅に出ることにします。
ハッピーと二人、故郷でのんびり暮らそうと
考えたわけですね。
(©村上たかし/星守る犬)
道中、お父さんの持病が悪化したり
助けた少年に財布を盗まれたり
ハッピーが病気になってしまったり
といろいろなことがありましたが。
二人の旅は楽しく幸せなものでした。
(©村上たかし/星守る犬)
そんな二人の旅の結末は…?
最後は「星守る犬」のタイトルどおりになります。
おとうさん。
こんやもほしがいっぱいですね。
やっべぇ、書いてて泣きそうになっちゃいました。
本作の犬たちは、人間の言葉をしゃべります。
しゃべるというより、犬の「心の声」を
人間の言葉として表現しています。
※ 人と会話ができるわけじゃありません。
これは、スゴクよかったですね。
犬の気持ちや心の内がわかるので、
スッと作品に感情移入できます。
「ナマケモノが見てた」が、
動物たちを擬人化させた作品なので、
こうした作りは、さすが村上先生。
このエピソードはお父さんとハッピーの物語です。
ふつうはハッピーとみくちゃんの物語に
なりそうな感じなのに、
そこをあえて「お父さん」にしたのもスバラシイ!
お父さんはわたしよりちょっと年上なんですけど。
もしかしたら、
「こういう人生も悪くないんじゃないか?」
エピソードを読み終わったあと、
そんな感傷に浸ってしまいました。
これも「お父さん」をメインに据えたからこそ。
お父さんとハッピーが、どんなラストを迎えるのか?
ぜひ本編で確認してください。
星守る犬のあらすじ②(双子星)
え~っと、次は2つ目のエピソード
「日輪草(ひまわりそう)」を紹介しよう
と思ったんですけど…。
この「日輪草」の内容は、上の「星守る犬」の
ネタバレをしないと紹介できないんですね。
なので、「日輪草」の内容は端折っちゃいます。
簡単に言うと、
ケースワーカーのおじさんと
むかし飼ってた犬とのエピソード。
そこに「星守る犬」のおじさんとハッピーが
絡んでくるストーリーになってます。
(©村上たかし/星守る犬)
ということでここでは、
3つ目のエピソード「双子星」のあらすじを
紹介します。
個人的には4つのエピソードの中で一番好きな話。
「ハートフル」という意味では、
このエピソードが一番いいストーリーです。
ちなみにここから第2巻になり、
コミックスは「続・星守る犬」となってますよ。
この「双子星」のヒロイン?は
偏屈で気難しいおばあちゃん・長野さん。
長野さんが、死にかけの仔犬を拾うところから
エピソードは始まります。
「ぼちぼち死んでもイイかね…」。
一人暮らしでお世話をしてくれる人もいない
長野さんは、そんなことを考えていました。
そこへ死にかけの仔犬を見つけたもんで
この仔が死んだら、わたしも死のう…。
そう考えて、仔犬を拾ったのでした。
(©村上たかし/続・星守る犬)
ところが。
意に反して、仔犬の体調は快方に向かいます。
だれに頼ることもなく
ひとりで生きてきた長野さん。
しかし風邪を引けば、
そばで心配した様子で見守ってくれ、
布団に潜り込んで一緒に寝てくれる仔犬に
しだいに情がうつっていきます。
そんな仔犬と一緒にいるうちに
死にたいという気持ちが薄れ、
一緒に生きていくことを考え始めるのでした。
「生きてくほうがつらいのにさ。」
(©村上たかし/続・星守る犬)
そう思い始めた矢先、
今まで元気そうだった仔犬の体調が
悪化してしまいます。
果たして、仔犬の運命は!?
(©村上たかし/続・星守る犬)
というのが「双子星」のあらすじとなります。
正直、このあらすじでは
「どこがハートフルなのか?」
分かんないと思うんですけど。
それは仔犬が病気になったあとから
ハッキリと描かれます。
だからネタバレになっちゃうので
ここまでにしときますね。
偏屈で意固地なおばあちゃんが、
仔犬との出会いをつうじて変わっていく姿は
人間、いくつになっても成長できるな。
人間、ちょっとしたことで変われるんだな。
ということを学ばせてくれる心温まるストーリー。
そして自分では気づかないけど、
人間、ひとりじゃ生きていけないんだな。
ということも改めて思い知らせてくれる
ヒューマンドラマでもあります。
おばあちゃんの周りを取り囲む人たち(数名)
もイイ味だしてますんで、
ぜひ本編で確認してください。
星守る犬のあらすじ③(エピローグ)
で、最後は4つ目のエピソード「一等星」。
なんですが。
実はコレも1つ目のエピソード「星守る犬」と
深く関わってまして。
ネタバレしないといけないので、スミマセン、
端折っちゃいます。
具体的には「星守る犬」で
おじさんの財布を盗んだ少年がメインのエピソード。
不幸な境遇にある少年と犬とおじいちゃんの
心温まるエピソードです。
加えて、昨今ニュースでも取り上げられる
シングルマザーの育児放棄に対する問題も
描いている意欲作でもあります。
(©村上たかし/続・星守る犬)
ということで、
本作「星守る犬」の4つのエピソードを
紹介してきました。
- 星守る犬
- 日輪草(ひまわりそう)
- 双子星
- 一等星
極力ネタバレしたくないので、
2つ目と4つ目は端折っちゃいましたけど。
お気づきでしょうか?
3つ目の「双子星」だけ、
1つ目の「星守る犬」と関わっていないことに。
でも大丈夫。
最後に描かれている
たった2ページのエピローグでつながります。
ま、エピローグはコミックス描き下ろしなんで、
ちょっと無理やり感がないわけでもないんですが。
独立した4つのエピソードを、
完全にリンクさせるのではなく、
ちょっとだけ関連性を持たせているという点も
本作を読む上でのポイントでしょうね。
その関係性を示すと、こんな感じ⤵。
※ 双子星と一等星もちょっとリンクしています。
おそらく、一番感動するのは表題作「星守る犬」。
あとの3つは、
感動というより温かいヒューマンドラマですね。
職場や家庭や学校などの人間関係に疲れたとき
イライラしたとき、ストレスが溜まっているとき。
そんなときに、あなたの心を癒す清涼剤として
じっくり読んでもらいたい、そんな名作です。
本作「星守る犬」は、電子書籍化されています。
わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト
「ebookjapan」なら無料で試し読みが可能。
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