今回は、昭和の名作少年漫画として
「プラモ狂四郎」を紹介します。
え~、お断りしておきますと。
「プラレス3四郎」ではありません。
「プラモ狂四郎」です。
どちらも同時期に連載され、プラモデルを題材に
子供たちからの人気を博した漫画なので
混同されがちですが、全く別の作品。
おまけにタイトルも似てますからね~。
プラレス3四郎はこちらの記事で取り上げたので、
今回は子供たちの「夢」を具現化した名作
「プラモ狂四郎」を紹介していきます。
アムロになりたかったあなた、必見です。
プラモ狂四郎の作品データ
【作品概要】
ガンダムとプラモデルが大好きな少年
京田四郎(きょうだ しろう)が
ライバルたちとプラモデルで戦うバトル漫画。
プラモデルを仮想空間で戦わせる
という画期的な設定で、
後の漫画・アニメ作品に
大きな影響を与えた名作でもあります。
【作品データ】
作品名 | プラモ狂四郎 |
作者 | 作:クラフト団、画:やまと虹一 |
連載誌 | コミックボンボン(講談社) |
連載期間 | 1982年(昭和57年)~1986年(昭和61年) |
単行本 | 全15巻(DX版は全6巻) |
電子書籍 | なし(紙版のみ) |
プラモ狂四郎の内容
本作「プラモ狂四郎」は、ガンダムを中心とした
ロボットアニメのプラモデルが
「プラモシミュレーションマシン」
と呼ばれる仮想空間でバトルを繰り広げる作品。
自分のガンプラ(ガンダムのプラモデル)を、
仮想空間とはいえ実際に動かして戦わせる。
この設定は、非常に画期的で、
子供たちにとっては夢のような漫画でした。
(©クラフト団:やまと虹一/プラモ狂四郎)
ラジコンのように
コントローラーを使って動かすのではなく、
コックピットで操縦している感覚が味わえる。
この設定は「素晴らしい」の一言。
だってみんな、
「アムロ」になりたかったんですから。
本作に登場するプラモデルは、
主にガンダムのシリーズですが、
他のロボットアニメのプラモデルや、
MSV(モビルスーツバリエーション)
と呼ばれるオリジナルのプラモデル、
そして実際の飛行機や戦車などを忠実に再現した
スケールモデルなど、
さまざまなタイプが登場します。
中でも、当時わたしが最も衝撃を受けたのが、
こちら⤵。
パーフェクトジオング(足つきジオング)。
これはかなり衝撃的でしたね~。
「機動戦士ガンダム」に登場するジオングは、
もともと足がついてないんですよ⤵。
それが、魅力でもありカッコよさでもある
と思っていただけに、
「足、つけるか~!?」
って感じで衝撃的だったのを憶えています。
まぁガンプラなどのプラモデルに関しては、
他のサイトでも熱く語っている人たちがいるので
詳しい解説はそういった方々にお任せします。
で、「プラモ狂四郎」の内容です。
当時としては画期的だった、
仮想空間でのプラモデルバトル。
そんな画期的な設定も、
「漫画だからできる」という
少し無理のある設定だったのは確か。
しかし、プラモデル同士のバトルについては
ちょっと違っていました。
というのも。
プラモデルの種類によっては、
腕や足の稼働区域が決まっていたり、
頭や手首・足首が動かなかったりと、
プラモデルならではの動き方があって。
本作では、それがバトルの勝敗を決する
ポイントになっていたからです。
実際のプラモデルの仕様に忠実な
「一種のリアルバトル」が描かれていたんですね。
この描き方は、
読み手である少年たちが実際に作っていた
プラモデル(ガンプラ)とリンクされていて、
とても良いデキでした。
が…。
回を重ねるごとにネタがなくなったんでしょうね。
しだいにそうした弱点を補ったり、
長所をさらに強化したりする
「改良」が行われることが多くなり、
本作の売りであった「リアルバトル」は
影を潜めてしまいます。
完全に「漫画としてのガンプラバトル」
になってしまったわけです。
(©クラフト団:やまと虹一/プラモ狂四郎)
そして、それを払拭するために生み出されたのが、
本作オリジナルのプラモデルだったのでしょう。
さっきのパーフェクトジオングもその1つですし、
有名なパーフェクトガンダムや武者ガンダム。
オリジナルZ(ゼータ)ガンダムに、
ZZZ(トリプルゼータ)ガンダムなんてのも
出てきました。
(©クラフト団:やまと虹一/プラモ狂四郎)
ただ結果的に、
これらのオリジナルプラモデルを登場させたのは
「当たり」でしたね。
漫画の人気とともに、オリジナルのガンプラも
ヒットしましたから。
余談ですが、個人的にガンダムのモビルスール
(ガンダムのロボットはこう呼ばれる)の中では、
ぶっちぎりでZガンダムが好きです。
それでも終盤は、ワンパターンのバトル展開が
見られるようになったため、
ストーリーに変化を付けたりして
工夫していたんですけど。
いかんせん、
売りであるプラモデルバトルの「ネタ」
そのものがなくなってしまったことには
勝てませんでした。
プラス、1983年(昭和58年)に
「ファミコン」が発売されたのも、
大きかったのでしょう。
ファミコンは、当時の子供たちの
「遊び方」そのものを変えましたからね~。
時代を先取りした設定で好評を博した本作ですが、
逆に時代の流れによって終焉を迎えてしまった
という悲しい一面もあるのです。
ただ、わたしを含めた当時の少年たちの「夢」を
漫画という形で具現化してくれた点は、
まったく色褪せることなく
後世に受け継がれています。
プラモ狂四郎のおすすめポイント(プラモデルの楽しさ)
同じ漫画を読むにしても
人によって色々な楽しみ方があるように、
プラモデルについても
人それぞれの楽しみ方があると思います。
やっぱり一番の楽しさは「作る楽しさ」
だと思いますが、
完成品を飾って「眺める楽しさ」や
「コレクションする楽しさ」もありますよね。
ただしそれって、
「大人になってから」の楽しみ方なんです。
子供と一緒にプラモデルを作っていて
感じたことがありまして。
まぁ、一緒に作る楽しさっていうのは
親も子も同じようにあります。
しかし問題は、プラモデルが「完成してから」。
われわれ大人は、完成したらポーズを決めて
スタンドに取り付けたり、
台座に固定したりしますよね。
でも子供はそうじゃないんです。
動かすんです。
ロボットであろうが、
車であろうが、
飛行機であろうが、
とにかく手に持って自分で動かしたがるんですよ。
それを見て思いました。
あぁやっぱりプラモデルの楽しさは
ココにあるんだなと。
プラモ狂四郎が、
なぜ当時の子供たちに人気があったのか?
それは、「作る楽しさ」と「動かす楽しさ」の両方
を兼ね備えていたからなんですね~。
やはり、自分で作ったプラモデルを自分で動かす
という魅力に勝るものは無いでしょう。
しかもプラモ狂四郎の世界では、
仮想空間でプラモデルがやられると
実際のプラモデルも同じように壊れる
設定になっています。
実はこれも本作の大きな魅力で、
子供って自分のおもちゃが壊れることに
あんまり抵抗がないんですよね。
むしろ、自分でわざと壊してそれを楽しんでる。
そんな雰囲気、
あなたのお子さんにもありませんか?
おもちゃが壊れてしまっても、
憤慨しているのはお金を出した親のほうで、
子供はケロッとしてたりするんですよね~。
このように本作は、
プラモデルを自分で作る楽しさにプラスして、
自分で動かしたい!という欲求も満たしてくれる
という点が、大いに子供心を刺激したのでしょう。
さらに、プラモデルを「壊す(壊したい)」
という相反する衝動をも満たしてくれるので、
子供にとってのプラモデルの楽しみ方の全て
が詰まった漫画と言えるのです。
実際のところ、
ここまで考えた末の作品とは思えませんが、
原作者のクラフト団はモデラーの集団だそうで。
プラモデルを好きな人たちが考えたからこそ、
子供たちの心も掴めたという面はあるでしょうね。
本作が描かれた昭和から元号が2つ変わっても、
この漫画で描かれていたような
プラモデルバトルは実現できていません。
しかし、本作の設定を継承したような
プラモデルなどをバーチャル空間で戦わせる
という漫画・アニメは生み出され続けています。
それだけ今の時代の子供たちにとっても
(大人もかな?)魅力ある設定で描かれた
作品なんですね。
これを機会に、その元祖である「プラモ狂四郎」
の魅力に触れてみてはいかがでしょうか?
そんな「プラモ狂四郎」ですが、
残念ながら電子書籍化されておらず、
どのサイトでも試し読みすることができません。
一般の書店でも手に入りにくいコミックス
となっているため、
興味を持たれた方は、下記のサイトで
販売状況をチェックしてください。