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天竜八部衆×水戸黄門【黄門★じごく変】再考/仏教神話が織りなすカオスな『ギャグ』漫画!

マンガ(昭和)

当時

大好きだった漫画家さんの1人、

中津賢也なかつけんじ先生の代表作

「黄門★じごく変」をピックアップ。

 

 

え~、おそらく

中津先生をご存知の方は

あまりいないんじゃないかと

思いますが。

 

この漫画、

ホントおもしろいです。

 

惜しむらくは

全2巻で終わってしまったこと。

 

 

今回の記事では

そのあたりも含めて

「黄門★じごく変」を

考察してイキます。

 

マイナーな漫画家さんの

マイナーだけど面白い作品を

ぜひお楽しみください。

 

【黄門★じごく変】作品データ

主人公は、高校生の

安積 覚あさか かく」と「佐々木 介三郎ささき すけさぶろう」。

 

いつものように

教室でケンカをしていた二人は

過って5階の窓から

老教師の水戸先生を蹴り落としてしまう。

 

さらに

覚と介三郎も一緒に落ちてしまい

3人とも「死亡」。

 

しかし、

 

死んだはずの彼らが気が付くと

ソコは「地獄」だった…。

 

天竜八部衆×水戸黄門【黄門★じごく変】再考/仏教神話が織りなすカオスな『ギャグ』漫画!

作品名 黄門★じごく変
作者 中津賢也
連載誌 週刊少年サンデー増刊号(小学館)
連載期間 1985年(昭和60年)~1986年(昭和61年)
単行本 全2巻(文庫版:全1巻)
電子書籍 あり

 

【黄門★じごく変】作者「中津賢也」について

さて、作品の考察をする前に

作者の中津賢也先生について

チョットだけ、ご紹介を。

 

と言っても

個人データなんか知りませんけどね。

 

 

ワタシが、中津先生の作品で

読んだことがあるのは、次の5作品。

 

① ふぁいてぃんぐスイーパー(全3巻)
② 黄門★じごく変(全2巻)
③ 徳川生徒会(全2巻)
④ ちぇりーげいる金(全2巻)
⑤ 桃色サバス(全12巻)

 

正直、最近の作品は知らないし

漫画を描いてるのかどうかも知りません。

※ 上記はすべて1990年代まで

 

 

で、

ご覧いただければ判るとおり

「桃色サバス」以外は

短命な作品が多いのが特長。

 

そのため、「2巻作家」なんて

あだ名がついていたこともあります。

 

 

そんな中津先生の作風は

基本的に『ギャグ漫画家』さん。

 

練り上げたストーリーや

プロットで読ませる

漫画家さんではありません。

 

ギャグと

それに必要不可欠なテンポで

スピーディーに読ませる作風が特長。

 

だから

短命な作品が多いんでしょうねww

 

 

この中津先生の作風が

最も色濃く出た傑作が

今回とりあげた「黄門★じごく変」。

 

ワタシが読んだ

上記5作品の中では

ダントツに面白い。

 

今回の記事で

その面白さが

少しでも伝わればいいなと思ってます。

 

 

ちなみに

中津先生の奥様は

漫画家の「浜田翔子」先生だそう。

 

ま、ワタシは

浜田翔子先生を

まったく知りませんがね(笑

 

【黄門★じごく変】考察 ① 天竜八部衆×水戸黄門

それでは本作

「黄門★じごく変」について

カンタンにストーリーを紹介しつつ

考察していきます。

 

※ 以下、ネタバレあり

 

設定(1)水戸黄門

教室から落下し

死んでしまった

安積覚と佐々木介三郎。

※ と、水戸先生

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

彼らは

そのまま「地獄」へ

放り込まれたワケですが…

 

実は、覚と介三郎は

天竜八部衆の

「竜王」と「天王」の

生まれ変わり。

 

そのため

忌むべき存在として

閻魔大王から命を狙われるハメになり

地獄へと落とされたワケです。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

そんな閻魔大王は

地獄界と人間界の統一を目論む

悪の権化。

 

かくして。

 

地獄に落ちた覚さんと介さんは

老教師の水戸先生とともに

閻魔大王を倒すべく

地獄を旅することになるのでした。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

と、ストーリーの大筋は

こんな感じになっています。

 

水戸先生と覚さん&介さんで

「水戸黄門」をパロってて、

閻魔大王を倒すために地獄を旅する

という目的が明確なのもイイですね。

 

また、

閻魔大王のもとへたどり着くまでに

各フロア(八大地獄)のボスを

倒さないといけない設定。

 

こうした

バトル漫画としての

体裁を成しているのも

少年マンガらしくてGoodですよね。

 

設定(2)天竜八部衆

そして「水戸黄門」とともに

本作を形作っているのは

天竜八部衆てんりゅうはちぶしゅう』という仏教神話。

 

 

【天竜八部衆とは?】

天竜八部衆とは

仏法を守護する八神を言い、

正確には8つの種族を意味します。

※ 天竜鬼神衆と呼ばれることも

 

仏教が流布する以前の古代インドの

鬼神、戦闘神、音楽神、動物神などが

仏教に帰依し、護法善神となったもの

らしいです。

 

諸説あるそうですが

一般的には、次の8つの種族が該当。

 ① 天衆(てんしゅう)
 ② 竜衆(りゅうしゅう)
 ③ 夜叉衆(やしゃしゅう)
 ④ 乾闥婆衆(けんだつばしゅう)
 ⑤ 阿修羅衆(あしゅらしゅう)
 ⑥ 迦楼羅衆(かるらしゅう)
 ⑦ 緊那羅衆(きんならしゅう)
 ⑧ 摩睺羅伽衆(まごらがしゅう)

 

 

本作では

この天竜八部衆を

おそらく各衆の長と思われる

  1. 天王
  2. 竜王
  3. 夜叉王
  4. 乾闥婆王
  5. 阿修羅王
  6. 迦楼羅王
  7. 緊那羅王
  8. 摩睺羅伽王

として描写。

 

この天竜八部衆を

取り入れているのは、

 

ファンタジーとか異世界とか、

そういった世界観が好きな

漫画ファンにとって

とても「ソソられる」部分。

 

こうした

ストーリー&設定をとっても

この漫画、すげ~おもしろいでしょ!

って感じがしませんか?

 

 

でもね、

 

この「天竜八部衆×水戸黄門」という

スバラシイ設定を

 

『活かせない』のが、

 

この漫画家さん、なんです(笑

 

【黄門★じごく変】考察 ② だって「ギャグ漫画」だから

水戸黄門をパロった設定、

閻魔大王を倒すバトル設定、

天竜八部衆というキャラ設定。

 

メチャメチャ面白そう!と

ソソられるこの設定ですが、

 

ぜんぶ

ものの見事に

「ちゅ~とハンパ」。

 

 

例えば

上にも書いた天竜八部衆。

 

8人いるメンバーのうち

本編に登場するのは

天王・竜王・阿修羅王・夜叉王だけ。

 

しかも

夜叉王にいたっては、ほんのチョイ役。

 

 

また「水戸黄門」についても

なぜ「水戸黄門」なのか?は

よく分かりません(笑

 

水戸黄門という設定に

必然性は無いのです。

 

たぶん

西遊記でも三銃士でも

問題なかったでしょう。

 

 

極めつけは

閻魔大王を倒すという目的。

 

閻魔大王を倒すために

旅をしている主人公たち。

 

でも実は

ラスボスは閻魔大王じゃありません。

 

さらに

その「真のラスボス」との戦いが

描かれていないという…。

 

 

まあ、とにかく

すべてが「ちゅ~とハンパ」。

 

 

……

………

…………

……………でもね、

 

こんな感じに

「ちゅ~とハンパ」なのは

仕方がないんですよ。

 

 

だって

「ギャグ漫画」だから。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

 

地獄を旅しながら

黄門様のように

世直しをして人々を救い、

 

その道中で

天竜八部衆が8人揃って

みんなで閻魔大王を倒しに行き、

 

最後に

真のラスボスに立ち向かう…。

 

みたいなストーリーは

無理なんですよね。

 

 

だって

「ギャグ漫画」だから。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

 

最初に

作者である中津先生を

わざわざ紹介したのは、このため。

 

先生の作風は「ギャグ」。

 

だから、本作の見どころも

絶妙なテンポと軽妙なギャグ。

 

ソレが秀逸なのであって、

ストーリーやプロットで

読ませる漫画じゃありません。

 

 

だから

「ちゅ~とハンパ」で

イイんです。

 

お手軽な娯楽作品として

楽しんでもらえれば、

それで、ぜんぜんオッケー。

 

だって

「ギャグ漫画」だから。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

【黄門★じごく変】考察 ③ キャラクター

というワケで

本作が「ギャグ漫画」であることを

理解わかってもらえたと思うので、

 

最後に

「黄門★じごく変」に登場する

主なキャラクターを紹介して

終わりたいと思います。

 

ちなみに

キャラの『設定』も

とっても秀逸ですww

 

キャラクター(1)安積 覚(あさか かく)

本作の主人公で

高校三年生。

 

前世は

天竜八部衆の「竜王」。

 

短気で粗暴で

怒りっぽい性格ですが

根は優しい(と思われます)。

 

介三郎とは

ケンカ仲間で親友。

 

 

『設定上』は

天竜八部衆で最強(最凶)。

 

物語の後半で

「竜王」に覚醒します。


(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

キャラクター(2)佐々木 介三郎(ささき すけさぶろう)

本作のもう1人の主人公で

高校三年生。

 

前世は

天竜八部衆の「天王」。

 

神経質な性格で

常にかっこよくありたいと

思っているちょっと嫌味な奴。

 

 

覚は、いかにも

漫画の主人公というタイプですが

介三郎には

リアルな人間臭さがあります。

 

『人間としての力』は

覚と互角。

 

しかし、覚醒時の強さは

明らかに

竜王(覚)より劣る設定です。


(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

キャラクター(3)水戸 みつくに

第1話で覚に蹴り飛ばされ

校舎の5階から転落して死亡した

私立大壊高等学校の老教師。

 

覚・介三郎とともに

地獄を旅することになる黄門様で

二人のことを「かくさん」、「すけさん」

と呼びます。(黄門様ですから)

 

 

作中

特に秀でた点は出てきませんが

後世では

なんと「弥勒菩薩」となる人物。

 

本作が長編漫画であれば

重要なキーマンに

なったであろうキャラクターです。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

キャラクター(4)阿修羅王(あしゅらおう)

天竜八部衆を統べる将であり

竜王に次いで強いという『設定』。

 

一見女性に見えるものの

性別はありません。

 

当初は

本作のシリアス担当を担っていました。

 

でもそこはギャグ漫画。

しっかりとお笑い役もこなします。

 

 

もし本作が

本格的なストーリー漫画であれば

こちらも重要なキーマンとなるキャラ。

 

おそらく

死亡フラグ付きの設定になる

と思われるほど

存在感のあるキャラクターです。


(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

キャラクター(5)島津 弥七(しまづ やしち)

地獄で

獄卒狩りを行なっている男性。

 

前世は

天竜八部衆の「夜叉王」

という設定です。

 

「一緒に旅をしないか?」と

誘われるものの

竜王・天王ほど強くない

という理由から断ります。

 

 

なお、本作ではチョイ役ですが

後の連載作品

「徳川生徒会」に再登場。

※ 夜叉王という設定は無関係

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

 

他にも、閻魔大王はじめ

閻魔大王の娘「蘭魔(らんま)」や

スケベな「帝釈天」、

八大地獄を守る刺客たちなど。

 

脇役キャラも充実した

「設定」になっています。

(©中津賢也/黄門★じごく変)

 

 

というワケで今回は

マイナーな漫画家さんが描く

マイナーだけど傑作な

「黄門★じごく変」を考察しました。

 

何度も言いますが

本作は

気軽に楽しめる『ギャグ漫画』です。

 

しかも長編ではなく

全2巻と短い漫画なので

サクッと読むにはうってつけ。

 

これを機に

「中津賢也」という漫画家さんに

触れてみてはいかがでしょうか。

 

昭和の「情熱」は、令和の「AI」へ

今回とりあげた

『黄門★じごく変』は

若干のお色気要素もアリ。

 

ま、基本はギャグだから

あからさまなお色気はなく

若干、ですケドね。

 

ただ

中津先生の画力は確かなので

お色気も見たいなぁ、と

感じるかもしれません。

 

 

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